さけび越え(平良道)から正座峰 

 旧朽木村の平良(へら)や桑原は、朽木村でも村役場のあった市場などと比べてさらに奥にあり、針畑川に沿った細い県道783号線のみが交通手段です。その西はヘラ谷奥、経ヶ岳、三国岳といった900〜950m級の京都府との県境の山々が続きますが、東側にはあまり目立つ山はなく、針畑川と北川水系を隔てる、白倉岳の烏帽子岳から北西に派生してきた長い尾根が標高700m前後で連なっています。この尾根はさらに北に延びると、小入谷へ越える県道の峠の鞍部を経て、百里ヶ岳の少し南で、中央分水嶺に達します。この長い尾根の一峰で、三等三角点のある正座峰(725m)は、別名を生姜谷峰、あるいはさけび山(サケビ山)といいます。「さけび」というのは、この尾根を越える「さけび越え」の峠道からきています。かつては平良、桑原と東の市場、あるいは雲洞谷を結ぶ生活道路だったようで、人だけでなく、牛が引く荷車も越えていたようです。今でも、その峠道は風情ある情景で知られていますが、それは雲洞谷と桑原を結ぶルートで、平良に至る「平良道」のルートは、廃道に近いといわれています。そこで今回、平良道を辿り、さけび越えの峠に至り、正座峰を往復して「桑原道」で下るルートをとってみました。なお、平良からの古い峠は、ルートMAPに示すように、さけび越えの峠より南の685m峰の少し南の鞍部にあったようで(旧サケビ越とか、平良サケビ越などと呼ばれているようです)、そちらはまた次の機会にでも歩いてみたいと思っています。写真の後ろの丸数字は、最後のルートマップの番号と対応しています。

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山行写真
撮影日:2013/10/27 Photo by Minaphm, All Rights Reserved.
撮影機材:ボディー: Pentax K-7、レンズ: SMC Pentax DA18-250mm F3.5


登り口を探す @P
「平良道」の登り口を探すため、林道佐慶比線(上)の入口あたりに車をとめました。下の写真の左が県道783号線(桑原方面)です。
右側の杉林に杣道が入っているので、それを進んでみました。なお、林道佐慶比線はすぐ先でゲートがあり、車は入れません。




杣道の様子 A
入ってすぐの杣道です。少し轍がありますが、すぐ先で消えました。とりあえず左に寄りながら斜面を登ってみました。



流れを渡る B
左に進むと流れがあり、それを渡りました。最初、この流れを登ってみましたが、滝が見えて険しくなり、ルートはありませんでした。



平良道の起点 C
流れに沿って下ってくると、さっきのBのポイントのほんの少し上から、山腹に道跡を発見しました。その幅の広さから、これがきっと平良道の道跡でしょう。



最初のヘアピン D
なんせ、この道はかつては牛の引く荷車も越えた道です。広くて、しかも荷車は斜面の急登はできないために曲がり部は
ヘアピンカーブ状になっています。草に覆われていますが、このヘアピンで、この道跡が、かつての平良道であったことを確信しました。




その後の道 D-E間
ここなどは、道の真ん中に杉が育ってはいますが、はっきりとした道形が残っている箇所です。



突然の倒木帯 E
突然道が倒木に覆われ、歩けなくなりました。どうやら、林道工事のときになぎ倒された樹木のようです。先に進んで下を見ると、
舗装された林道が通っていました。しかたなく、倒木の上を滑りながら何とか登っていき、一本上のルートの出ることができました。




その上の道 E-F間
また、きれいなルートに戻りました。



二次林に出る F
杉の植林帯が終わり、きれいな二次林の中の登りになりました。



再び植林へ G
と思っていたら、また植林の中に。



二次林のヘアピン H
そしてまた二次林に出たところで、ヘアピンがありました。草は多くなってきましたが、昔の道形は、まだじゅうぶんわかります。



尾根は近い? H-I間
ずいぶんと傾斜は緩み、尾根上に乗ったのかな?と思う場所です。



尾根の北側 I
ついに尾根を越え、北側に出ました。でも、このあたりから道形は徐々に怪しくなってきました。



ほとんど消えた道 J
このあたりが、一番歩きにくい状態でした。ここは谷で、道形は流れたようです。



正座峰 J
このあたりから、山頂方面が見えました。



主稜線の下を行く J-K間
主稜線の尾根に沿って北に回りこみ、道の状態もよくなりました。まもなく峠です。



さけび峠(サケビ峠) K
ついに、峠に着きました。しかし、ショックなことが。お地蔵様がいない・・・。右の石の台座に、かつては次の写真ようなかわいらしい
お地蔵様がいらっしゃるとガイド本には書かれていました。お会いできるのを楽しみに来たのに・・・・。あとでネットで調べると、
どうやら2007年の夏あたりからいらっしゃらなくなったようです。いったい何があったのでしょうか?とにかく、残念でなりません。
(写真は草川啓三さんの「近江 湖西の山を歩く」、ナカニシヤ出版より)






稜線を北に向かう L
気を取り直して正座峰の山頂に向かいます。尾根上のルートは、歩きやすく、迷うこともありませんでした。



もうすぐ山頂 L-M間
思った以上によく踏まれている稜線でした。春はイワカガミがいっぱい咲きそうです。



山頂 M
峠から15分も歩けば、正座峰の山頂です。三角点を中心に少し広場になっていますが、眺望はありません。



三角点 M
三等三角点、点名は「朽木」、標高は724.84mです。



桑原への下り N
峠Kまで戻って、今度は桑原道で下ります。



よく踏まれた道 O
さすがにこちらは、登りに使った「平良道」と違って、よく踏まれています。



その下の道 O-P間
まさにハイウェイですね。



下りもヘアピン P
桑原道もかつては荷車が通った道。ヘアピンが何ヶ所かあります。



林道に出る Q
何回かヘアピンを下ると、林道に出ました。



林道合流 R
桑原の杉屋谷橋たもとの「さけび越え入口」の標識があるところに下るなら西へ向かうべきだったんですが、今回はどこへ下ってもいいので、そのまま林道を下り続けました。



県道に出た S
すると、ここで県道に出てきました。「さけび越え入口」の標識より200mほど下流です。あとは県道をのんびりと駐車地まで。



山行記録:日時−2013年10月27日、天候−曇り時々晴れ。10:37 林道佐慶比線入口の駐車地@に駐車後、出発。10:50 平良道入口Cを見つける、11:09 倒木の箇所E、11:38 尾根の北I、11:54 さけび越えの峠K、12:10 正座峰・山頂M着。昼食後、12:21 山頂発、12:33 さけび越えの峠K、12:54 林道に出るQ、13:00 県道に出るS、13:18 駐車地@着。

さけび越えへの平良道はほとんど廃道化しており、登り口を探すのが少し手間取りました。でも、一旦見つけてしまうと、Eの倒木箇所を除いて、そう問題なくIまで登れました。昔の生活道で、荷車も登ったとのことで、幅は広く、無理な傾斜はありません。一番荒れているのは、J付近で、樹木がかなり邪魔をしてくれます。でも、登り口を見つけてからほぼ1時間で、さけび越えの峠に達しましたので、なかなかいいルートです。もっと皆さんが歩くようになれば、さらに良くなっていくと思います。桑原道は、平良道に比べると、まさにハイウェイ状態。最近特によく歩かれているルートのようです。
お地蔵さんの件は、ほんとうに残念でなりません。もし心無い人が持ち去っていたとしたら、許せるものではありません。長年、地元の人々が愛し、信仰したお地蔵さんです。もしそうなら、せめてそっと返しておいてほしいです。
この日は時間がまだ早かったので、このあと車で生杉まで北上し、生杉のブナ原生林から三国峠に登ってきました。

MAP


この地図は国土地理院発行の2万5千分の1地形図(久多)をベースに作成いたしました。

写真の丸数字は地図と対応しています。