夜叉ヶ池と三周ヶ岳~山開き前の美濃側から

 泉鏡花の戯曲で名高い夜叉ヶ池とその東に聳える三周ヶ岳1292mに美濃側から登りました。山開きが6月上旬というこのルートに、GWに入りました。この年は雪が少なく、雪の問題はありませんでしたが、林道片道7kmのアプローチは結構時間も体力も奪いました。それでも、この時期にしか見られない花々にも出逢え、眺望にも恵まれ、苦労した甲斐がありました。写真タイトル横の番号は、最後のルートマップに対応しています。

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三周ヶ岳・山頂からの眺望へ



撮影日:2016.5.5 Photo by Minaphm, All Rights Reserved.
撮影機材:ボディー: Pentax K-7、レンズ: SMC Pentax DA18-250mm F3.5


神又谷出合の林道通行止 P①
山開きの前、車はここ神又谷出合までしか入れません。登山口の駐車場までまだ片道7kmあります。朝の7:40、既に車は5~6台
とまっていましたが、釣と山菜取りの方がほとんどのようです。しかたなくここに車を置き、林道歩きの始まりです。標高517m。



ミヤマキケマンを見ながら ①-②間
林道脇にたくさん咲いていたのがミヤマキケマンです。



川沿いの林道 ①-②間
揖斐川上流の坂内川に沿って上っていきます。



トキワイカリソウ ①-②間
これも林道脇で見つけました。ここはまだかろうじて太平洋側ですが、主に日本海側に分布するトキワイカリソウです。



三周ヶ岳 ①-②間
林道を一時間半ほど歩いてきました。中ツ又谷、大樽尾谷を左に分けて、林道沿いの谷は池ノ又谷になっています。目の前に三周ヶ岳の山頂部が見えてきました。



夜叉龍神社の鳥居 ②
御影石の立派な鳥居です。夜叉龍神社と書かれています。社殿等は無く、三周ヶ岳がその先にあります。
なお、ここから左上に見えている峰は、三周ヶ岳山頂の南700mにあるP1252です。



トイレ ②
すぐその先にトイレがありました。駐車場はまだです。このトイレと鳥居は、あとでP1252近くから見下ろすことができました。



駐車場 ②-③間
やっと駐車場までたどり着きました。歩き始めてから休憩入れて、ほぼ二時間です。



登山案内板 ③
駐車場の一番奥が登山口。この看板の左を、谷に下ります。



いきなりの渡渉 ③-④間
池ノ又谷の本流を右岸に渡る橋が流されていました。いきなりの渡渉です。


2回目の渡渉 ③-④間
今度は左岸に渡る橋も。ちょっと濡れるのは覚悟で渡りました。でも、本流を渡るのは上流部を除いてこの二回だけ。



急登区間に入る ④
二回目の渡渉を終え、さらに高丸から下ってくる支流を渡ると、支尾根への急登が始まります。



ミズナラの新緑 ④-⑤間
このあたりは、カエデやミズナラの新緑がきれいでした。



夜叉ヶ壁 ⑤
⑤まで来ると、前方に夜叉ヶ壁が見えてきます。上の写真の左は夜叉丸、あるいは夜叉ヶ池山と呼ばれる1212mの峰です。



サンカヨウ ⑤-⑥間
夏に青紫の美しい実をつけるサンカヨウです。



ハウチワカエデ ⑤-⑥間
ハウチワカエデの新緑と花です。



ブナ ⑤-⑥間
いよいよブナが増えてきました。新緑があまりにきれいです。巨樹もたくさんありました。



コイワカガミ ⑤-⑥間
野坂山地など日本海が近いところのブナ林ではオオイワカガミをよく見るのですが、
なんと、ここのイワカガミは高山系のコイワカガミでした。ちょっとびっくり。



タチツボスミレ ⑤-⑥間
おそらくタチツボスミレなのですが、白い部分が通常よりだいぶ左右と上に広がっています。もちろん、真っ白なものもあるので、変異の範囲かと思います。


スミレサイシン ⑤-⑥間
こちらのスミレはスミレサイシン。日本海側に分布するスミレで、大きな葉と花が特徴です。


ユキグニミツバツツジ ⑤-⑥間
雄しべは10本、葉は三つ葉状、花の中央に赤い斑点があるなどの特徴から、ユキグニミツバツツジと見ました。



近づく夜叉ヶ壁 ⑤-⑥間
ブナ林とそこに咲く花々に見とれながら歩いていると、知らない間に夜叉ヶ壁がずいぶんと近づいてきていました。



幽玄の滝 ⑥
やがて、幽玄の滝に着きました。名のとおり、なかなか神秘的な滝でした。看板によると、
「夜叉姫がこの滝で肌を清めて聖域に入り、地底へ下り身を潜めたという」とありました。



リュウキンカ ⑥
滝のしぶきがかかるところに咲いていました。湿地や水辺に生えるキンポウゲ科の花です。



シャクナゲ ⑥
滝の横に咲いていました。ホンシャクナゲ。これもツツジの仲間。



ミツバツチグリ ⑥-⑦間
これも、滝の横あたりから、たくさん咲いていた花です。バラ科のミツバツチグリです。



本流を渡る ⑥-⑦間
ここで、久しぶりに左岸から右岸に渡ります。でも、流れはもうせせらぎ程度です。



夜叉ヶ壁と昇龍の滝 ⑥-⑦間
夜叉ヶ壁をすぐ下から見上げるところまで来ました。洞窟があります。その左手から細い滝が落ちています。昇龍の滝です。



昇龍の滝 ⑥-⑦間
幽玄の滝と同様にニ段で落ちています。



カタクリ ⑦
このあたりからカタクリも出てきました。



コミヤマカタバミ ⑦-⑧間
これも美しい花です。葉の角が丸く、コミヤマカタバミではないでしょうか。



岩場の登り ⑦-⑧間
標高が1000mを超えてきました。いよいよ夜叉ヶ壁の一角を登ります。固定ロープがあり、慎重に行けばそんな危険は無いです。



ハルリンドウ ⑦-⑧間
日当たりの良い岩場に咲いていました。根生葉があり、ハルリンドウでしょう。



高丸 ⑦-⑧間
地面の花ばかり見てたので、久々に高きを見ると、目の前に巨大な高丸1316mが姿を見せていました。
裾はブナに覆われていますが、山頂部は樹もなく、黒く見えています。黒壁と呼ばれる所以かな?




湧谷山 ⑦-⑧間
その向こうには湧谷山1080mです。



夜叉ヶ池 ⑧
間もなく、県境尾根を乗り越し、木道の階段を下がると夜叉ヶ池です。標高はほぼ1100m。福井側に進むと、
休憩できるテラスがあります。渡渉に時間食ったりして、駐車場からほぼ2時間かかって到着です。




石碑 ⑧
かつては祠があったようですが、今は夜叉姫の碑があります。



テラスから ⑧
ここで、お昼の大休憩。それにしても美しい池です。稜線付近の濁った池は鈴鹿にもありますが、こんなきれいな池は知りません。やはり神秘の池なのでしょう。



ヤシャゲンゴロウ ⑧
ここにしかいない貴重なヤシャゲンゴロウ。絶滅危惧種です。



三周ヶ岳目指して ⑧
お昼も食べて、いよいよ三周ヶ岳に出発。まずは目の前のP1150に。



見えてきた三周ヶ岳 ⑨
P1150を越えて少し進むと、目指す三周ヶ岳1292mが目の前に。左が山頂、右端はP1252です。



高丸 ⑨
右手に高丸1316mを見上げながら進んで行きます。



鍋倉山 ⑨
湧谷山の右になだらかな山が見えています。これは東海自然歩道の通る鍋倉山1050mです。



イワウチワ ⑨-⑩間
ピンクの桜型の花はイワウチワです。



シャクナゲ ⑨-⑩間
滝の横で見たシャクナゲは薄いピンクでしたが、稜線のホンシャクナゲは濃いピンクです。ちょうど見頃です。



夜叉丸と夜叉姫ヶ岳 ⑨-⑩間
登ってきた方向を振り返ると、夜叉ヶ池の南にある夜叉丸1212m(右)と夜叉姫ヶ岳1206mです。



近づいてきた三周ヶ岳 ⑨-⑩間
三周ヶ岳の山頂がだいぶ近づいてきました。



少しだけ岩場 ⑨-⑩間
P1230への登りです。クマザサが増えてきました。



三国岳と左千方 ⑨-⑩間
夜叉丸と夜叉姫ヶ岳の鞍部の向こうに三国岳1209mが見えてきました。丸い大きな峰が三国岳。その左後方、三角点のある左千方1197mです。



上谷山 ⑨-⑩間
三国岳の右手には滋賀-福井県境の上谷山が大きく見えます。こんな立派な山だったのかと実感します。



権現山と天狗山 ⑨-⑩間
高丸の右に鋭鋒が見えています。権現山1158mです。その右手前、重なるように立っているのは天狗山1149mです。



熊笹に埋もれて ⑨-⑩間
P1230を越えました。少し下ります。熊笹の丈がところによって背丈を超えるようになってきました。漕ぎながら、時に潜りながら進みます。



鳥居とトイレ ⑨-⑩間
P1252の手前、朝歩いてきた林道の鳥居とトイレが俯瞰できました。



もう少し ⑩
三周ヶ岳の山頂がいよいよ迫ってきました。でも、笹漕ぎの道は益々笹が濃くなりながら続きます。



タムシバ ⑩-⑪間
山に生えるコブシ、タムシバの花です。花芯がこんなにきれいだったとは今まで気づきませんでした。



山頂 ⑪
ついに、三角点のある、三周ヶ岳の山頂です。夜叉ヶ池を出てからちょうど1時間20分です。



一等三角点・三周岳 ⑪
山頂にあるのは一等三角点です。点名「三周岳」、標高は1292.0mです。




山頂⑪からの眺望
白山から時計回りにぐるっと一周。


白山
ほぼ北東方向、加賀の白山2702mがまだ白い巨体を横たえていました。距離は68kmあります。右は別山2399m、右手前に冠山。



冠山、荒島岳
その冠山1257mです。その右後方に見えてきた大きな山は荒島岳1523mです。もう雪がほとんどありません。



不動山、千回沢山、
手前に不動山1240mと、少し右後方の千回沢山1246mが縦に並んでいます。左後方の大きな山は姥ヶ岳1454m。



能郷白山
そして、その右の盛り上がりが能郷白山1617mです。距離は21kmほどです。右の鋭鋒は磯倉1541mです。



烏帽子山と雷倉
東南東。谷を挟んで3.5kmの距離にある烏帽子山1242mが手前に。その山頂の真後ろ、台形状の山が雷倉1169mです。



花房山、蕎麦粒山
その右手、蕎麦粒(そむぎ)山1297mです。左遠方に見えているのが花房山1190mです。



権現山
その右には権現山1158m。さきほど夜叉ヶ池からは高丸の右に天狗山と重なりながら見えていましたが、ここからは高丸の左に単独で現れます。



高丸
南東の方向、わずか2kmに高丸1326mの丸い峰。登ってみたい衝動に駆られますが、
残雪期以外は、ここ三周ヶ岳どころではない相当な藪を漕がないと無理だとか・・・。




貝月山、大ダワ
南東には貝月山1234m。手前の台地状の峰は、大ダワ1067m。



ブンゲン
いよいよ滋賀との県境の山が見えてきました。ブンゲン1260mです。山頂は右寄りにあります。滋賀県では3番目の高峰も、ここからの眺望
では標高はあまり目立ちません。でも、左右の大きさでは、かなりの巨体といえます。中央付近に奥伊吹のスキー場が見えています。




伊吹山
そして、南南東ぐらいの方向に伊吹山1377mが見えてきました。距離は30kmほど。手前に台形の向山1074m。鳥越峠東の峰です。



金糞岳
滋賀県第2の高峰、金糞岳1317mです。左が山頂。右が白倉ノ頭。いつもと反対向きの双耳峰です。一つ手前は猫ヶ洞1065m。



己高山
湖北の己高山923mです。一番手前は夜叉ヶ壁のピーク、P1252です。



横山岳
横山岳1132m。秋に、向こうから三周ヶ岳を眺めたのを思い出します。



日野山
横山岳の右には三国岳、上谷山がありますが、藪のせいでここからはよく見えませんでした。そんなわけで、
途中から撮ったものを上に載せています。次に見えてきたのは北西方向、福井盆地とその脇の鋭鋒・日野山794m。




美濃俣丸、笹ヶ峰
北北東。左手前に美濃俣丸1254m。そこから福井-岐阜の県境稜線を進んで、右に1288mの無名峰、左に曲がって1294mの無名峰、さらに先が笹ヶ峰1285m。



部子山、銀杏峯
1288m無名峰の左奥に部子山(べこさん)1464m。右に銀杏峯(げなんぽ)1441m。この右が白山となります。ちょうど眺望で一周してきました。





イワナシ ⑪
山頂に、イワナシがまだ咲いていました。いよいよ下山します。



夜叉丸 ⑨の南
再び夜叉丸が近づいてきました。太陽の方向の関係で、切り立った岩場が翳って、より立体感が出てきました。



今日、見納めの夜叉ヶ池 ⑨の南
上からじっくりと夜叉ヶ池を眺めました。やはりきれいです。後方は上谷山。



翳る夜叉ヶ壁 ⑥-⑤間
逆光の夜叉ヶ壁もなかなかの迫力でした。



今日、見納めの三周ヶ岳 ②-①間
林道を下る途中、夕日に照らされた三周ヶ岳が見えました。



山行記録:日時-2016年5月5日、天候-晴れ。GWの晴れた日というのに、山中お会いしたのは同じく美濃側から単独で夜叉ヶ池まで登られていた少しご年配の女性一人。山開き前といえ、意外でした。車では登山口手前7kmまでしか進めないため、林道歩きを計算しておく必要があります。朝の7時過ぎにたどり着いていて良かったです。これより遅かったら、三周ヶ岳は厳しいでしょう。また、本流の橋が二箇所とも落ちていたため、渡渉を余儀なくされました。これもちょっと計算外でした。でもそれ以上に、五月の安定した天候、早咲きの花との出逢いが楽しめ、良かったです。

7:20ごろ ①Pに駐車後、7:41 出発、9:24鳥居②、トイレで休憩後 9:38出発。9:40 登山道入口③、10:59 幽玄の滝⑥着。休憩後、11:03⑥発、11:18 昇龍の滝、11:45 県境稜線、11:48 夜叉ヶ池⑧到着。昼食後、12:24 ⑧発、13:44 三周ヶ岳・山頂⑪到着。休憩後、14:09 同所⑪発、15:10 夜叉ヶ池⑧、15:45 幽玄の滝⑥、16:48 登山口・駐車場③、18:45 駐車地①着。メンバー計5名、行動時間11時間4分、歩行時間9時間45分、歩行距離23.1km、累計高度+1092m、-1056m。(歩行距離以降、Geographica®による)



ルートマップ

この地図は国土地理院の地理院地図をベースに作成いたしました。