ヒヨノ(陣尾山)と向山(芹川南)   Mt. Hiyono & Mukai

近江カルスト(脇ヶ畑カルスト)上の山といえば、鍋尻山と高室山が代表格ですが、そのほかにもいくつもの峰が連なっています。もっとも近江平野側に並ぶ、ヒヨノ(陣尾山)、杉坂山、アミダ峰、そして向山は、一日でじゅうぶんにまわれる範囲にある静かな峰々です。この日はアケボノゾウ発掘で知られる多賀町四手(しで)から、2万5千分の一地形図やエアリアマップ(昭文社No.46、2001年版)に破線で記されているかつての生活道(廃道)をたどって、四手峠に立ち、ヒヨノを往復した後、杉坂山、アミダ峰、向山に登りました。下りには、これも由緒ある旧・杉坂を通って、八重練の集落に下りました。

今回のルートマップへ
杉坂山(鉄塔下)からの眺望へ


山行写真
撮影日:2002/12/23 Photo by Minaphm, All Rights Reserved.
撮影機材:ボディー: Pentax KX、レンズ: Tefnon Zoom 28-105mm F3.5、Threekor 200mmF4.5


四手林道を詰める @
多賀町四手は、多賀大社から東南東に2kmほど。標高約200mの山ぎわの集落です。
ここから、きれいに舗装された四手林道を歩いていきます。正面の山は高畑山462m。
四手川ダムは、ダムというより、堰堤の大きいの、といった雰囲気です。




ダムからの杉坂山 @
ダムの右岸(左側)を歩きながら、正面を見ると、杉坂山がでーんと立っていました。普段はあまり
目立たない山だけに、ちょっと感動。あとで頂上に行くから、ちょっと待っててなっ!と声をかけたい気分です。
そして、あの鉄塔の根元が、好展望ポイントです。  杉坂山(鉄塔下)からの眺望へ




ダムからのヒヨノ @
さらにもうちょっと先まで進むと、その右に、ヒヨノが出てきました。すごく高く感じました。
ヒヨノの左の杉坂山との鞍部が、今からまず向かう四手峠です。



四手林道(上)と千枚岩(下) A
ダム湖を過ぎると、舗装は終わり、左のような林道になります。やがて左に、「千枚岩」と書かれた、褶曲地層があります。



石仏(上)と林道終点(下) B
滝ノ又を左に分けるところで、右側に石仏が祀られています。エアリアマップにもでています。やがてその先で林道は果てます。いよいよ廃道に!



四手峠への登り B−C間
とにかく踏み跡はなくなりましたが、四手川の谷筋に沿ってまっすぐに登っていきます。やがて、一番下の写真のように、鞍部が見えてきます。




四手峠 C
絵に描いたような峠、稜線です。これは、峠から杉坂山方向(北)を見ています。



ヒヨノへの登山道 C
逆に、峠から南を見ると、ヒヨノへの登路です。なかなかの急勾配です。まず、ヒヨノに向かいます。



ヒヨノ・山頂 D
三角点のあるヒヨノの山頂です。植林の中で、四手川ダム湖が少し見える程度しか眺望はありません。


ヒヨノから再び四手峠に戻り、今度は杉坂山に取り付きます。やがて、鉄塔の根元Eに出ます。ここからの眺望は見逃せません。
北は伊吹山、霊仙山、東には鍋尻山、南には雨乞岳まで見渡せます。もちろん、近くのヒヨノ、向山もきれいに見えます。

杉坂山(鉄塔下)からの眺望へ



杉坂山の山頂 F
鉄塔から10分もかからずに、山頂に着きます。山頂といっても、いくつかプレートがあるだけです。



杉坂峠の車道 G
杉坂山から稜線を下ると、やがて杉坂峠に出ます。車道を渡って今度はアミダ峰へ。



アミダ峰への登り口 G
車道を少しだけ杉集落方面に下り、最初の左カーブの奥から取り付きました。
でも、他の場所からでも稜線にさえ向かえば、大丈夫でしょう。



アミダ峰・山頂 H
杉の巨木が立ち並び、幽玄の雰囲気のある山頂です。



アミダ峰の石仏 H
西内氏のガイド本にある、山頂の石仏とは、おそらくこの石仏でしょう。少し探さないと見つかりませんでした。



アミダ峰・東の鉄塔下Iよりイワス(上)と金糞岳(下)
アミダ峰で稜線は東に折れます。東に少し進むと、また鉄塔があります。その根もとから北を望みます。
上は、芹川谷を挟んで、一つ北の山塊のイワス640m(左)と比婆之山670m(右端)、下は遙か遠方、伊吹山地の金糞岳1317mです。




向倉越 J
鉄塔から東に下ると、杉集落から桃原への峠と向倉への峠があります。これは向倉への峠で、
右が杉、左が向倉方面です。そして、まっすぐ登ると、向山への稜線です。




向山からの高室山 J−K間
向山は、山頂の少し手前から南東の視界が開けます。高室山818mはこんな感じです。



向山からのザラノ J−K間
高室山の左には尾根続きのザラノ808mです。



向山からの御池岳 J−K間
高室山とザラノの尾根上からは鈴鹿の最高峰・御池岳1247mが頭をのぞかせています。



向山山頂 K
山頂は植林に覆われていて眺望もありません。



杉の廃屋 L
杉の集落跡にある廃屋の一つです。かつてはかなりの人口が暮らしていたそうです。


杉坂峠の御神木 M
杉坂最上部・杉坂峠にある何本かの大杉は、多賀大社の御神木です。
この杉が滋賀県下最大の樹木でもあります。ここからかつての杉坂を下っていきました。




杉坂 N、O、P
由緒ある杉坂を下ります。杉坂はその昔から日本武尊も通ったといわれる道です。
そして、関ヶ原の合戦時には島津義弘軍が逃走した道。そのために、この街道
(多賀町八重練〜岐阜県上石津町時山)は島津越えと呼ばれることもあります。
そんな由緒ある道なんですが、いまでは車道が並行していて、かなり廃道化した箇所があります。




八重練の杉坂取り付き Q
八重練に下ってきました。降りてきた方向を振り返っています。
この石橋の先、流れを左に渡ったところが尾根への取り付きで、そこが杉坂の登り口です。



八重練からのアミダ峰、杉坂山、ヒヨノ R
八重練集落脇から今日歩いてきた山々を振り返ります。左からアミダ峰、杉坂山、ヒヨノの順です。
アミダ峰と杉坂山の鞍部が杉坂峠、杉坂山とヒヨノの鞍部(前の峰で隠れていますが)が四手峠です。




ルートマップ

番号は、上の写真に対応しています。

この地図は国土地理院発行の2万5千分の1地形図(高宮)をベースに作成いたしました。

山行記録:日時−2002年12月23日、天候−晴れ。8:47 四手公園口バス停、9:13 四手ダム@、9:30 千枚岩A、10:39 四手峠C、10:54 ヒヨノ山頂D着。11:10 山頂発、11:20 四手峠C、11:30 杉坂山鉄塔E(昼食)、12:20 鉄塔発、12:30 杉坂山・山頂F、12:43 杉坂峠G、13:00 アミダ峰山頂H、13:05 アミダ峰鉄塔I(コーヒーブレイク)、13:25 鉄塔発、13:46 向山・山頂K、14:20 杉(廃村)L着、15:00 杉発、15:08 杉坂峠G、杉坂下り、16:12 八重練R着、16:35 八重練バス停、17:10 多賀駅着。

 彦根駅からバスに乗り、左手にアミダ峰や杉坂山を見ながら国道306号線を多賀方面に向かい、四手(しで)公園口バス停でバスを降りました。朝の日差しで霜がとけて朝靄のたつ四手の集落を抜け、きれいに舗装された四手林道を歩いていきました。右手に高畑山を眺めながら進むと、20分ほどで四手川ダム@です。ここから、目指す杉坂山とヒヨノが正面に眺められました。やがてダム湖が果てると未舗装道となり、林道らしくなります。左に薄い岩が重なったような地層が見えてきたら、千枚岩です。さらに奥に進むと、右手に石仏が祀ってあり、谷が2つに分かれます。その奥で林道は果て、枯れた夏草の中を進みます。夏はかなり大変なことでしょう。左から土砂の崩壊箇所があり、川の中を歩いたり川の左岸(右手)に出たりで回避しながら、ひたすら沢筋を登ります。やがて踏み跡はほとんどなくなりますが、谷筋はわりあいはっきりしているので、迷うことはないでしょう。ただ倒木がかなり多いので、多少ルートを考えて登らないと体力を浪費します。上に鞍部の光が明るくなってきたら、四手峠Cはもうすぐそこです。
 峠からはまずヒヨノを目指しました。いきなりの急登をあえぎながら登ると、左前方からの尾根を合わせ、やがて山頂Dに着きます。山頂は植樹に覆われていますが、四手川ダム湖が木々の隙間から見えました。再び峠に戻り、今度は杉坂山を目指しましたが、途中の鉄塔下Eで、お昼にしました。ここからの眺望はほんとに最高です(下の写真をご覧ください)。鉄塔下から杉坂山の山頂Fはわずかですが、この山頂も小さな札がある程度で、特に何もありません。ここから杉坂峠への下りは、踏み跡とかテープもあまりなく、地図と磁石を頼りに下っていきます。やがて峠の舗装道路が見えてきます。
 峠の杉集落側を少し下り、最初の左カーブの奥からアミダ峰に取り付きました。他の場所からでも登れそうです。最初だけ勾配が急で、フユイチゴの実がなった植林の中を稜線に向けて登ります。やがて、稜線に出ると勾配は緩くなり、わずかな登りの歩きやすい稜線です。大きな杉が出てきて、先が落ち込むところがアミダ峰の山頂Hです。山頂札や石仏は少し探さないと見つからないような場所にあります。宝探しみたいな気分で探してみましょう。この幽玄な雰囲気のある山頂も眺望はないのですが、少し東に行くと次の鉄塔があり、その根もとから北が見えます。芹川の北の山塊のイワス、比婆之山、男鬼山など、そして遙か向こうには伊吹山地の金糞岳が見えました。鉄塔からさらに東に向かうと下りとなり、杉集落から桃原への峠と向倉への峠Jを鞍部として通過します。次の登りを登りきれば、向山の山頂Kです。山頂の少し手前から、高室山、御池岳、ザラノなどがきれいです。山頂からは鍋尻山もわずかに見えました。
 向倉への峠Jまで引き返し、そこから杉Lに向けて下りましたが、このルートは完全な廃道ですが、倒木や枝の上を何とか下っていけば、やがて桃原への峠からの道と合流し、その先で杉集落跡の廃屋の前に出ます。ここで少し道草をして陣屋へのルートを探した後、杉坂峠に戻り、いよいよ杉坂を下ります。
 杉坂の峠からの入り口には、なんといっても有名な多賀大社御神木の大杉Mが立っています。たしかに見事なほど巨大な杉です。南西方向に山腹をトラバースすると、やがて杉坂山からの尾根に乗り、方向も西に向きます。あとは玉鬼(兎?)山まで基本的にこの尾根上を下っていきます。しかし、何ヶ所かは尾根の両側にずれて、かなりまっすぐについています。かつて、重要な街道であったということを思い出させてくれます。しかし、道の真ん中から木もはえてきており、やがて消えゆく道のようにも見えます。玉鬼(兎?)山を過ぎると尾根は二つに大きく割れ、道は南西側の尾根に乗っていきますが、この入り口がなかなかわかりにくいようです。あとは傾斜がやや急になり、流れの音が聞こえ始めると、八重練の北はずれの小さな流れの脇に降り立ちますQ。流れはすぐ前の芹川に流れ込んでいきます。八重練の集落を過ぎたあたりから振り返るアミダ峰、杉坂山、ヒヨノの三山はなかなか見事なものに見えました。

杉坂山(鉄塔下)Eからの眺望


ヒヨノ



向山
手前の中央が向山。左手には伊吹山、右手には霊仙山。



向山・望遠



伊吹山・望遠



霊仙山・望遠



鍋尻山(左)と地蔵山



鍋尻山・望遠